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総量規制超過でもう借りられない!債務整理すべき?

司法書士とパラリーガル

「総量規制の対象になったら債務整理をすべきか?」
「総量規制の対象でも債務整理できるのか?」

2010年に貸金業法が改正されて以降、「個人が貸金業者から借入できる総額は年収の1/3まで」という規制がかかりました。これを「総量規制」と呼びます。

たとえば、年収300万円の人が、100万円の借金をしている場合には、これ以上のお金を借りることはできません。

総量規定は多重債務に苦しむ人や、貸金業者による過剰な貸付を防ぐために作られた制度なので、逆に総量規定の対象になるほど借金をしている人は危険信号といえます。

したがって、そのような人には、借金の減額や帳消しといった効果がある「債務整理」がおすすめです。

そこで今回は、総量規制の概要や、総量規制の対象になった際、債務整理するとどんな効果があるのか説明したいと思います。

総量規制とは

最初に、総量規制がどのような規制なのか説明します。

総量規制の概要について

「総量規制」とは、個人が借りられるお金の総額に制限を設ける規制のことです。

総量規制が設けられた背景には、多額の借金で困っている人や、複数のカード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)から借金をしている、いわゆる「多重債務」の人などが増加傾向にあったという事実があります。

2010618日以降、総量規制によって個人の借入総額は原則年収の1/3までと規制されたため、これ以上の借金はできません。

総量規制の目的

総量規制の目的としては、

  • 借金に困っている人を減らすこと
  • カード会社による過剰な貸付を抑制すること

が挙げられます。

総量規制が導入された結果、多重債務に苦しむ人の数は一時的に減っていきました。

複数カード会社の借金にも適用

総量規制で年収の1/3分以上の借り入れができないのは1つのカード会社ではなく、すべてのカード会社が対象です。

よって、

  • 年収600万円
  • カード会社A:借金100万円
  • カード会社B:借金30万円
  • カード会社B:借金70万円

という場合には、すでに200万円借金をしており年収の1/3に達しているため、これ以上の借入はできません。ただし、銀行からの借金については例外です。(詳しくは後述)

原則年収の1/3まで借りられるが……

たとえば、先程の事例で年収600万円の人だった場合でも、必ずしも1/3200万円まで借金ができるとは限りません。

なぜなら、総量規制の施行によりカード会社の審査もシビアになっており、年収の上下なども考慮されるため、年収の1/3ギリギリまで貸付を行うケースは非常に少なくなっているのです。

総量規制の条件

次に、総量規制の諸条件について、詳しく説明したいと思います。

総量規制の条件

総量規制の条件ですが、個人の借入総額は原則として年収の1/3までと規制されています。

そのため、カード会社から借入を行う際には、給与明細や源泉徴収票といった年収を証明する書類の提出が求められる場合もあるのです。

総量規制の対象としては、

  • 銀行以外のカード会社からの借金
  • クレジットカードによるキャッシング

などが挙げられます。上記の合計金額が、原則として年収の1/3を超えた場合には、新たな借入ができません。

たとえば、年収300万円の人は、

300万円 ÷3100万円

ということで、年収の1/3100万円となります。そして、この人が以下のような借入をしている場合には、

  • カード会社A:借金50万円
  • カード会社B:借金30万円

すでに、80万円の借入があるため、

100万円 -80万円 =20万円

となり、最大20万円まで借入が可能というわけです。

また、年収を証明する書類の提出が求められない場合でも、カード会社はあなたがいくら借入しているか把握することができます。

なぜなら、カード会社は「FINE(ファイン) Financial Information Network】」と呼ばれる独自のネットワークで繋がっているため、顧客の借入状況や借入残高を参照できるからです。

総量規制の対象外となる借金

総量規制は、あくまでも“個人”が“銀行以外”のカード会社から借入を行う場合のみ適用される規制です。

そのため、それ以外の借入に関しては総量規制の対象外となっています。

具体的には、以下の借入などが総量規制の対象外です。

  • 銀行からの借入(銀行のカードローンなど)
  • 法人名義での借入
  • クレジットカードのショッピング枠
  • 住宅ローンや自動車ローン
  • 有価証券担保の借入
  • 高額療養費の借入
  • 不動産担保の借入

上記の借入については総量規制の適応外となるため、借入残高が年収の1/3を超えた場合でも借入が可能です。

銀行カードローン拡大による影響

前述した通り、総量規制がスタートした後は、一時的に多重債務の人が減少していきました

しかし、2016年には、13年ぶりに個人の自己破産件数が増加したと、最高裁が発表しています。

つまり、自己破産する人が増えているということは、多重債務の人が増えたとも捉えられるわけです。

この状況の原因の一つとして考えられるのが、銀行カードローンの拡大といわれています。

総量規制がスタートして以降、銀行カードローンの貸出残高は増加傾向にあり、2016年にはその他のカード会社の貸出残高を上回る結果となったのです。

銀行カードローンといっても、実質は他のカード会社からの借入と変わりありません。

それにも関わらず、総量規制の対象外になっているため、年収の1/3を超えた人でも問題なく借入ができます。

そのため、銀行のカードローンが原因で、借金問題に苦しむ人が増えていると考えられています。

総量規制の対象になったら債務整理をすべきか?

総量規制の対象になっている人は身の丈に合わない金額の借金を抱えているため、債務整理の必要性が高くなります。

返済が苦しい人は債務整理を検討すべき

総量規制の対象になっている人は年収に見合わない借金をしている状況なので、返済が苦しい場合がほとんどだと思われるため、債務整理して負担を軽くするのが得策です。

あくまでも一つの基準ですが、毎月の借金返済額が月収の1/3以上になっていれば、債務整理のタイミングといえるでしょう。

たとえば、総量規制では年収300万円の人が100万円以上の借金を抱えるのは危険だと規制しています。

そして、これを月収に換算すると、

300万円 ÷16カ月(賞与2カ月×2)18.75万円

となるため、月収の1/3は以下のように考えることができます。

18.75万円 ÷36.25万円

したがって、年収300万円の人の場合、毎月の借金返済額が6万円以上あると危険信号といえるのです。

債務整理とは

債務整理とは、国が作った借金問題を法的に解決するための制度です。

債務整理は誰にでも利用でき、借金の減額や帳消しといった効果があるため、返済の負担を軽減できる効果があります。

債務整理の手続きとしては、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」などが一般的です。

任意整理

任意整理とは、カード会社に任意の交渉に応じてもらうことで、将来的に発生する利息や遅延損害金をカットし、3年~5年の分割払いにしてもらえるよう和解する債務整理になります。

任意整理のメリットは借金返済の負担を軽減できることです。

たとえば、100万円の借金を任意整理して3年間で完済しようとした場合には、

  • 毎月の返済額:約27,778 
  • 返済総額 :100万円
  • 利息:0

となります。

いっぽう、カード会社から借りた100万円の借金(実質年率18.0)を、3年間で返済しようとすると、

  • 毎月の返済額:36,152 
  • 利息:301,486

なので、利息がカットされ毎月8,000円ほど返済額が減ることになるわけです。

また、カード会社と5年返済(60)で合意できた場合には、

  • 毎月の返済額:約16,667 
  • 返済総額 :100万円
  • 利息:0

となるため、さらに返済の負担を大きく下げることができます。

個人再生

個人再生とは、裁判所に申し立てすることで借金を1/51/10程度まで減額し、残りを原則3年間(最大5年間)で返済できれば完済扱いにしてもらえるという債務整理です。

また、個人再生には、「住宅ローン特則」と呼ばれる、住宅ローンが残った自宅を手元に残しつつ、借金を減額してもらえる制度もあります。

ただし、個人再生では借金を大幅に減額してもらえる代わりに、以下に規定された「最低弁済額」の返済が必須です。

100万円~499万円⇒100万円

500万円~1,499万円借金額の1/5

1,500万円~2,999万円⇒300万円

3,000万円~4,999万円借金額の1/10

(上記は住宅ローンを除いた金額)

たとえば、以下のような借金額の場合には、

  • 借金が300万円の場合⇒最低弁済額100万円
  • 借金が1,000万円の場合⇒最低弁済額250万円
  • 借金が4,000万円の場合⇒最低弁済額400万円

となるわけです。この減額された借金を3年間で返済できれば、完済扱いとなります。

ただし、最低弁済額は個人再生における最大の減額率であり、あなたの収入や財産の状況によっては減額される可能性もあるため注意が必要です。

自己破産

自己破産とは、「破産」と「免責」という2つの手続きを同時に行う債務整理です。

  • 破産:手持ちの財産を処分してカード会社に分配する手続き
  • 免責:裁判所に支払い不能と認められることで借金を帳消しにしてもらえる手続き

つまり、自己破産とは、財産を失う代わりに借金をチャラにしてもらえる手続きといえます。

まとめ

本棚とペン
  • 総量規制とは、個人が借りられるお金の総額に制限を設ける規制のこと
  • 個人の借入総額は原則年収の1/3までと規制されたため、これ以上の借入はできない
  • 総量規制の目的
    └借金に困っている人を減らすこと
    └カード会社による過剰な貸付を抑制すること
  • 以下は総量規制の対象外
    └銀行からの借入(銀行のカードローンなど)
    └法人名義での借入
    └クレジットカードのショッピング枠
    └住宅ローンや自動車ローン
  • 総量規制の対象になったら債務整理をすべき

各種債務整理の概要とデメリット

執筆・監修

藤田司法書士

藤田 太

保有資格

  • 日本司法書士会連合会所属
  • 埼玉司法書士会所属 登録番号 第1124号
  • 簡裁訴訟代理等関係業務認定 第601564号
  • 日本行政書士会連合会所属
  • 埼玉県行政書士会所属 登録番号 第07131937号

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